健全な自己肯定感をはぐくむために2016年03月22日更新

はじめに

最近メディアでもよく耳にする「自己肯定感」。自己肯定感が低いと自分に自信が持てず、失敗をしたくないからと挑戦するのを嫌がるだけでなく、非行の原因にもなるといわれています。子どもの能力を引き出し、健やかに育てたいというのは、すべての親の願いですね。健全な自己肯定感の形成には、幼少期からの体験が大きく影響するといわれています。今回は、自分の存在を認め、自信を持って人生を切り開いていくために、親ができる子どもとの接し方をご紹介します。

自己肯定感とは?

自己肯定感とは、「自分は生きる価値がある、誰かに必要とされていると、自らの価値や存在意義を肯定できる感情のこと」をいいます。自己肯定感の高い子どもは、自分に自信があり、何事にも挑戦していく強い心を持っています。また、自己肯定感があると気持ちに余裕があり、人に優しく接することができるので、多くの人が周りに集まることが多い傾向にあります。

子どもとの関わり方のポイント

自己肯定感は0~6歳までの未就学児の間に土台が形成されますが、特に親の接し方が重要だといわれています。意識したいポイントは2つあり、子どもに「愛されているんだ!という実感を持たせる」ことと、「やればできるんだ!という自信を持たせる」ことです。
自分の要求を充分に受け止められ、「自分は愛される価値がある」と自覚できた子どもは、他人とも信頼関係を築くことができます。自信にあふれ、自分の考えで行動できる自立した大人に育っていきます。幼児期に親子の信頼が築かれていると、思春期になって極端な形で反抗する態度を取ることなく、自然な形で親離れができる子も多い傾向にあります。

無償の愛

自己肯定感の形成に最も悪影響を与えることの一つは、「感情で子供への評価を変えてしまう」ことだといわれています。何度言ってもなかなかできないのが子ども。そのことにいら立ち、「できない子、ダメな子」や「そんなことする子は、嫌い」というように接してしまうと、子ども自身、自分は愛されていない、必要のない人間かもしれないと思ってしまいます。もちろん、叱ることは必要ですが、感情が高ぶって、いつの間にか自分の怒りのはけ口になってしまうような接し方には注意しましょう。一呼吸おいて、「存在」「感情」を否定するような言葉は避け、「行動」を叱るようにしましょう。

例)×「ダメ!何度言ったら分かるの?」
→○「これは危ないからやめてね。」
→○「こういうことをするとケガをするから、今度はこうしてね。」

そして、普段から無条件の大好きを伝えてもらっている子は、多少叱られても大丈夫です。
親の無償の愛という安全地帯のような存在がある子どもは、外の世界で自信を持って次のことにチャレンジしていけます。親から愛されていると感じることで、自分は愛される価値がある、自分はここにいていい存在だ、と自己肯定感が育まれるのです。普段から、「大好きだよ」「生まれてきてくれてありがとう」と伝えてみましょう。

努力過程を褒める

努力しているのに認められない...大人でも空しくなりますよね。それは子どもにとっても同じことです。小さなことでも、努力して達成したことは具体的に褒めてあげましょう。達成までしなくても、以前と比べてできることが増えたら、それも褒めポイントです。また、たとえ失敗したとしても、「頑張った過程」を認め、褒めてあげること、そして失敗してもいいことを伝えることが大切です。努力を認められ、褒められることで、子どもは「自分は認められる存在なのだ」と感じることができ、自信を持って新たなことにチャレンジできるでしょう。
逆に注意したいのが、努力した過程を見ずに、結果だけを褒めること。何かに失敗して成果が出なかったときに、成功していない自分には価値がないという意識を植え付けてしまったり、「もしうまくできなかったら...」とプレッシャーを感じさせてしまうことにも繋がります。「どうせ○○」「だって○○」などの言葉が聞かれたら、自己肯定感が低くなっている可能性があるので、関わり方を見直す必要がありそうです。

例)×「すごいね。」、「よくできたね。」
→○「自分でボタンがとめられるようになったのね、すごいね。」

例)×「片付けなさい!」
→○「今日はここまで片付けられたね。でも明日はもう少し片付けてくれると、ママうれしいな。○○ならできると思うんだ。」

例)×「1位になれてえらいね。」
→○「1位になれたんだね、いつも外でかけっこの練習してたからだね、すごいね。」

話を真剣に聞く

子どもが何かを話している時は、途中で口を挟んだり、テレビやスマホをちらちら見たりせず、最後まで聞いてあげましょう。途中で話をさえぎると、自分が尊重されていないと感じるものです。真剣に話を聞くことで、パパママが自分を認めてくれる存在だと感じられ、自己肯定感が芽生えます。

「ありがとう」は魔法の言葉

「ありがとう」は相手の存在価値を認める魔法の言葉です。自己肯定感の低い子どもは、「どうせ自分なんて...」と思う傾向にあります。お手伝いなどをしてくれたら「ありがとう!助かったよ」と感謝の言葉を伝えてあげましょう。しかし、お手伝いの途中で失敗してしまったり、下の子の面倒を見てくれていたのに、ケンカしてしまったりすると、意識がそちらに向きやすくなり、結果的に怒ってしまった...ということも少なくありません。そのようなときは、まず、「○○してくれてありがとう」と伝えてからその次に起こったことを話すようにすると、自然とママの心も落ち着くでしょう。
「ありがとう」の言葉は、人から必要とされていると感じられ、自然と自分に存在意義を持てるようになります。

おわりに

子育て中のパパ・ママは忙しく、子どもに向き合う時間が十分でないという方も多いと思います。しかし幼少期の子どもへの接し方は、子どもの人生に様々な影響を与えることもあります。「どれだけ長く時間を過ごすか」より、「ポイントをしぼった濃密な関わり」のほうが、子どもに親の愛情を適切に伝えることができます。子どもの自己肯定感を育むために、少しずつでも子どもとの向き合い方や向き合う時間を工夫していけたらいいですね。

文献紹介:岡田尊司 著「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」(光文社)

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