
子どもの短所に悩んでいませんか?2016年04月19日更新
やるべきことをやらない、落ち着きがない、人前ではもじもじしている...など、日々子どもの性格に頭を悩ませているママ・パパは多いのではないでしょうか。しかし、その「短所」だと思っていることは、本当に悪いことでしょうか?一見、ネガティブにとらえがちな子どもの行動も、見方によっては「長所」になるのです。最近イライラしているな、うまくいかないなと感じているときは、子どもの行動そのものに問題があるというよりも、心がそう思わせているのかもしれません。
感情フィルター
心理学で「投影」という言葉があります。相手の行動を自分がどう感じるかは、自分の感情というフィルターを通して常に見ているという意味です。
日常の場面を思い浮かべてみましょう。ある親が子どもを公園に連れて行ったとします。子どもがみんなの輪に入らずもじもじしていると「どうしてそんなに人見知りするの、子どもらしく元気に走り回ってみんなの輪の中に入りなさい!」と叱りたくなりました。
このことを考えてみると、子どものその行動自体の良し悪しというよりも、親自身の心の中に『子どもは公園に行ったら元気にお友達と遊ぶもの』『さっと行動することは良いこと、グズグスしていることは悪いこと』という価値観が、子どもの行動に対してイライラする感情を作り出しているのです。
短所と長所の考え方
上記の例で言うと、慣れない場所で「場所見知り」すること、大勢が遊んでいる場所で「人見知り」するのは、『その場の空気を敏感に感じる感受性が優れている』という良い面として捉えることもできます。
他の例を挙げると、「人の言うことを聞かない」と思ったとします。しかしそれは「自分の意見を主張できる」という長所と捉えることができます。「消極的」な子は「慎重」なところがあるのです。「頑固・わがまま」な子は「意志が強い」のです。「神経質」な子には「繊細」なところがあるのでしょう。
そんなふうに、意識して短所の裏にある長所に目を向けた言葉がけをすることが大事です。
大人は、これまでの経験、世間の見方、価値観によって子どもの性格・特性を判断しがちです。さらに、子どもの性格・特性が短所に見えるか長所に見えるかは、親の都合によるところも大きいのです。長い人生を生きていく上で、長所がずっとそうであるとは限らないし、短所が役に立つこともあります。短所を親が意識しすぎていると、子どもへの言葉がけも気になる部分への注意・否定になり、子どももますます萎縮したり、自分を否定的に捉えるようになってしまいます。
子どもの気になる性格・特性がある場合は、このように声をかけてみましょう。
【引っ込み思案さん】→ 「慎重になっちゃうんだね」
「遠慮しすぎちゃうんだね」
「みんながどう思うか気にしすぎちゃうんだね」
「自信もっていいんだよ」
【頑固・わがままさん】→ 「意志が強いんだね」
「他の人はどう思うかなぁ?」
「しっかり考えてるんだね」
「自分でちゃんとやりたいんだよね」
【注意散漫さん】→ 「色々なことに興味があるんだね」
「やりたいことがいっぱいあるんだね」
「もう少し落ち着けるといいかなぁ」
【乱暴さん → 「自分の気持ちをうまく伝えられなくてイライラしちゃうのね」
「一緒に遊べなくて淋しかったのかな」
「ママはこうしてくれたらうれしいなぁ」
【泣き虫さん】→ 「自分の気持ちを伝えるのが苦手なのかな」
「どうしたらいいかわからなくて困っちゃうよね」
「自分の思いをちょっとでも言えるようになるといいな」
性格というのは、素質を基礎にできあがった、かけがえのない個性です。簡単に変えることはできませんし、素質に良いも悪いもありません。どんな素質も、長所にもなれば短所にもなるのです。短所が気になるときは、その素質に含まれる長所に目を向けるようにしましょう。人は、否定されると反発しますが、共感・受容されると言葉や感情、自分というものを受け入れられるようになります。お子さんの良い芽を伸ばせるような関わりができるといいですね。